Netflix_ザ・クラウン The Crown Season 5_ピーター・モーガン製作総指揮
https://www.youtube.com/watch?v=SfJtU_50kcA
Ep.1。総取替えになってしまったキャストに馴染めない。しかし、メージャー首相役が良い。この人とエリザベスの「サシ」での演技合戦は見応えがあった。双方が背負っている立場に深く想いを致すほどに、味わえる。「サシ」対話のシーンは、このドラマの肝だと思う
Ep.2。ダイアナ問題がひたすら鬱な展開へ。前のシーズンには若干だけあったワチャワチャ感が去り、ひたすらシビアな展開へ。そして、このシリーズが一貫して問い掛ける、王室という制度が中にいる個人を破壊に対する告発。(日本も他人事ではない)
Ep.3。アルファイド家登場。名前だけ知っていたが、そういうことだったのか・・と近現代史の勉強になる。英国植民地のエジプトからやってきた、英国への愛憎を持つ一家。
Ep.4。アナス・ホリビリス(最悪の年)スピーチに関するエピソード。本作定番の「制度と個人」のネタであるが、地味ながら素晴らしいエピソードだと思う。立憲君主であり、神の代理人でもある女王。個人であるはずがない、という葛藤。妹の「中流階級みたいなことしないで」に痺れた。
Ep.5。チャールズ回。カミラゲート。エグい。しかし、チャールズをどう描くか、ドラマの製作陣も相当な気を遣っていると思うが、この綱渡りはすごい。
Ep.6。UKとロシアの因縁回。。王室同士には従兄弟など繋がりがある。この両国はグレート・ゲームを戦ってる(今も)のはずだが、王室同士にこういう因縁がある、という勉強。王室からすれば、共産党は親族の仇。このシリーズ、インテリ寄りにシフトしてきてる気がする。この回に。エディンバラ公フィリップとエリザベスの因縁、結婚47年も絡ませて、結構重い。フィリップの屈折。ウチの元祖は元々正教会だ。一方でエリツイン、バッキンガム宮殿も大したことねぇなとロシア語で悪態。
Ep.7。ダイアナ回。精神的に辛い、陰鬱。カーン医師って昔ニュースで聞いたかもしれない。
Ep.8。ダイアナ展開続く。このエピソードも運びが秀逸。サスペンスフルで、いろいろなものを重ねる。
Ep.9。離婚回。離婚決定の後、チャールズが、別居していたダイアナを訪れての二人芝居のシーンが素晴らしい。
Ep.10。香港返還&ブレア登場&アルファイド家再登場、とややとっ散らかりつつも、最後は今シーズン幕開けのブリタニア号退役で〆る。
感想。IMDBの点数があまり伸びていないけれども、全体としてはすごくハイレベルなドラマだと思う。ただ、あえて言えば、かなり「知識人向け」作りに寄せてきており間口は狭くなったのだろう。時代が今に近づいてきており、利害関係の問題も大きくなったところを、主要人物全員を善悪多面的な人間として巧みに造形していく脚本はすごい。日本のドラマではこれは無理、と思った。役者さんでは、新たなチャールズ役(ドミニク・ウェスト)が頑張った。メジャー首相役(ジョニー・リー・ミラー)もいい仕事。
2022/12/10